記事更新日:平成30年10月23日
「専任技術者」は建設業許可要件のうちの一つなので、とても重要な技術者となります。
請負契約の締結、履行を確保するため、必ず1人以上の専任技術者が営業所ごとに常勤で勤務している必要があります。
ですので、例外を除き、原則として専任技術者が現場に出ることはありません。
専任技術者は次のうちのどれかに該当する必要があります。
一般建設業の場合
〇許可を受けようとする建設業に関して資格がある者
〇許可を受けようとする建設業に関して実務経験が10年以上ある者
〇許可を受けようとする建設業に関して学歴と実務経験がある者
(高校の指定学科卒業後5年以上の実務経験または、大学の指定学科、高等専門学校卒業後3年以上の実務経験がある者)
特定建設業の場合
〇許可を受けようとする建設業に関して資格がある者
〇一般建設業の場合のどれかに該当し、許可を受けようとする建設業に関して元請として4,500万円以上の工事について2年以上の「指導監督的実務経験」を有する者(平成6年12月28日以前については3,000万円以上の工事)
〇国土交通大臣が上記と同等以上の能力を有すると認めた者
となっています。
ちなみに「指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)」では「指導監督的実務経験」は専任技術者として認められません。
特定建設業で、この指定建設業の専任技術者となる者は、1級などの国家資格者である必要があります。
そして、一般建設業の場合の「許可を受けようとする建設業に関しての実務経験が10年以上」とありますが、一部の建設業については「許可を受けようとする建設業に関して実務経験8年以上+他の建設業に関しての実務経験を合算して12年以上」でも認められています。
どういうパターンがあるのかというと
①申請業種が「とび・土工・コンクリート、しゅんせつ、水道施設」である場合
→申請業種で8年以上の実務経験+土木一式の実務経験を合算して12年以上
②申請業種が「屋根、ガラス、防水、熱絶縁」である場合
→申請業種で8年以上の実務経験+建築一式の実務経験を合算して12年以上
③申請業種が「大工、内装仕上げ」である場合
→申請業種で8年以上の実務経験+建築一式の実務経験を合算して12年以上
→申請業種で8年以上の実務経験+大工または内装仕上げの実務経験を合算して12年以上
④申請業種が「解体」である場合
→申請業種で8年以上の実務経験+とび・土工・コンクリートまたは建築一式または土木一式の実務経験を合算して12年以上
のパターンがあります。
専任技術者になる方で、資格はないが実務経験がある、もしく指定学科卒業後に実務経験があるという方の場合、建設業許可申請の際に実務経験証明書を提出します。
ここで気をつけなければならないのが実務経験証明書の年数の数え方です。
例えば「平成29年1月~平成30年12月」
この期間で12ヶ月になるかと思いきや、1ヶ月はカウントされません。
ですので、この場合は「11ヶ月」となります。
そして、実務経験証明書と一緒に工事請負契約書や注文書を提示しますが、工期が1ヶ月に満たない工事は切り捨てられてしまいます。
これについてはその都道府県によって基準が違うことがありますので、詳しくは提出先へ問い合わせてみるといいかもしれません。
もし、工事請負契約書や注文書がない場合には、請求書を提示することになりますが、請求書の提示となると、金額がわかる通帳も必要になります。
読んでわかるとおり、専任技術者になる方は資格をもっていることが一番だと思います。
専任技術者が退職などで欠けてしまうと、代わりの者を専任技術者としなければならないので、従業員の方に資格を取得してもらうなど、先のことも考えておくことをおすすめします。
「建設業許可要件1.経営業務の管理責任者」でもお話したとおり、要件を満たし、同一の営業所に常勤であれば、経管と専任技術者は兼任できます。
もくじ・・・この道10年の行政書士が明かす!建設業許認可関連ノウハウ - 行政書士たっきーのブログ