建設業会計仕訳講座 初級編〇原価〇材料費〇労務費

 

 

 

 

1.原価とは

・原価は、経済価値の消費である。
・原価は、経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値である。
 給付とは、経営が作り出す財貨をいい、最終給付(完成工事原価など)だけではな  く、中間給付(未成工事支出金)をも意味する。
・原価は経営目的に関連したものである。
・原価は正常なものである。

 

☆非原価項目
(1) 経営目的に関連しない価値の減少
① 次の資産に関する減価償却費、管理費、租税等の費用
  ・投資資産たる不動産、有価証券など
  ・未稼働の固定資産
  ・長期にわたって休止している設備
  ・その他の経営目的に関連しない資産
② 支払利息、割引料、支払保険料などの財務費用

など・・・

 

(2) 異常な状態を原因とする価値の減少
① 異常な仕損・減損・棚卸減耗など
② 火災・震災などの偶発的事故による損失
③ 固定資産売却損および除却損
④ 異常な貸倒損失 
など・・・

 

(3) 税法上とくに認められている損金算入項目
租税特別措置法による償却額のうち通常の償却範囲額を超える額
など・・・

 

(4) その他利益剰余金に課する項目
法人税所得税
② 配当金
など・・・

 

☆工事原価
工事を完成させるために発生した原価

 

☆販売費及び一般管理費
販売活動のために発生した費用、一般管理活動のために発生した費用。
販売費・・・広告宣伝費、販売手数料など
一般管理費・・・水道光熱費、消耗品費、租税公課など

 

 

 

2.原価の分類(形態別分類)

原価の分類方法に、形態別分類があります。
形態別分類は材料費・労務費委・外注費・経費に分類されています。

・材料費・・・物を消費することで発生する原価
労務費・・・労働力を消費することで発生する原価
・外注費・・・一部を他の業者に対して委託した工事にかかる原価
・経費・・・・上記以外のものを消費することで発生する原価

 

 

 

3.原価計算の流れ

〇費目別計算
材料費・労務費・外注費・経費に分けて計算します。
材料・労務費・外注費・経費の勘定科目を用います。
材料を購入したり、賃金や外注費、経費を支払ったときは、各勘定の借方に記入します。
そして、各勘定から使った金額を未成工事支出金勘定(借方)へ振り替えます。


・例えば、材料1,000円を購入して500円分使ったとき・・・

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使った分の材料(資産)500円が減り、未成工事支出金(資産)が500円増えます。

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・同じように、労務費100円・外注費100円・経費50円としたとき・・・

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それぞれを未成工事支出金勘定に振り替えます。 

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〇工事原価の計算
 次に、完成した工事については、未成工事支出金勘定(資産)から完成工事原価勘定(費用)に振り替えます。

・工事750円のうち650円分が完成し、引き渡したとき・・・

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未成工事支出金(資産)750円のうち、650円分引き渡したので、未成工事支出金(資産)650円を減らして、完成工事原価(費用)へ振り替えます。

 

 

 

 

4.材料費

材料費は、仕入れた材料のうち、工事で使ったもの(消費したもの)の金額になります。
材料費は消費形態によって、主要材料費・補助材料費・仮設材料費に分けることができます。

 

・主要材料費
木材や瓦など、建物の基本的な部分を構成するための材料。
その消費額が主要材料費になります。

・補助材料費委
塗料や接着剤など、補助的に使われる材料。
その消費額が補助材料費になります。

・仮設材料費
足場や現場を囲うフェンスなど。
一時的に現場で使われる仮設材料に関する消費額が仮設材料費になります。

 

 

 

 

5.材料を購入したとき

1本1,000円の鉄骨を4本購入し、代金は後日支払う。
鉄骨を運んだ運送会社に対する200円は現金で払った。

 

〇次のような仕訳になります。

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材料の購入代価と、運賃など材料の購入にかかった費用を合わせて、材料の購入原価とします。
材料(資産)が増えたので、借方に記入します。
材料の支払いは掛けとしているので、工事未払金(負債)を貸方に記入します。
運賃は現金で払い、現金が減ったので貸方に記入します。


〇材料が4,200円増えるので、貸借対照表の資産の部に+4,200円です。
 (資産の増加)
〇工事未払金が4,000円増えるので、貸借対照表の負債の部に+4,000円です。
 (負債の増加)
〇現金が200円減ったので、貸借対照表の負債の部に+200円です。
 (資産の減少)

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6.材料を使ったとき

鉄骨2,000円を使った。

 

〇次のような仕訳になります。

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材料(資産)が減ったので、貸方に記入します。
材料を使ったときは、未成工事支出金(資産)へ振り替えます。


〇未成工事支出金が2,000円増えたので、貸借対照表の資産の部に+2,000円です。
 (資産の増加)
〇材料が2,000円減ったので、貸借対照表の負債の部に+2,000円です。
 (資産の減少)

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7.材料費の計算のしかた(先入先出法)

今月、木材を50枚使った。
月初めの材料は10枚(1枚100円)、今月購入した材料は60枚(1枚150円)ある。


材料費=消費単価×消費数量 となります。

消費単価・・・使った材料の単価
消費数量・・・使った材料の数

 

〇消費単価の決定
初級編では先入先出法という方法で消費単価を決定し、材料費を計算していきます。

先入先出法・・・先に購入したものから順に払い出すと仮定して消費単価を決める方法。

先に購入していたものから順番に使ったと仮定するので、上の問題文の場合で材料費を計算すると
100円×10枚+150円×40枚=7,000円
となります。

 

〇消費数量の計算
継続記録法・・・材料の購入や消費のつど、材料元帳に記録し、材料元帳の払出数量欄に記録された数を消費数量とする方法。

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赤文字の部分が消費数量となります。


棚卸計算法・・・材料の受入のみ材料元帳に記録し、払出数量は記録しません。
この方法では、次の計算で消費数量を算定します。

消費数量=月初数量+当月購入数量-月末在庫数量

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赤文字の部分のみ記録します。

 

 

 

 

8.労務

労務費は、工事現場で労働力を消費する人にかかる賃金や給料などの人にかかる費用です。
以下の5つに分類されます。

 

① 賃金
直接作業に従事する、現場作業員に支払われる給与を賃金といいます。

② 給料
現場事務所の事務員などに支払われる給与を給料といいます。

③ 従業員賞与手当
現場の作業員などに支払われる賞与や手当(通勤手当など)のことをいいます。

④ 退職給付引当金繰入額(退職給付費用)
従業員の退職に備え計上する費用のことをいいます。

法定福利費
健康保険料や雇用保険料のうち、会社負担分の保険料をいいます。

 

建設業における労務費は、①の直接工事に従事している人に支払われる賃金、給料手当てなどです。
②~⑤は経費となります。

 

 

 

 

9.賃金を支給したとき

賃金の額は10,000円で、源泉所得税500円と社会保険料1,500円を差し引いた8,000円を現金で支給した。

 

〇次のような仕訳になります。

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賃金は労務費(費用)なので、借方に記入します。
差し引いた源泉や社会保険料は預り金(負債)なので、貸方に記入します。
現金で支給したので、現金を減らします。

 

労務費が10,000円発生したので、損益計算書の費用に+10,000円です。
 (費用の発生)
〇預り金が2,000円増えるので、貸借対照表の負債の部に+2,000円です。
 (負債の増加)
〇現金が8,000円減ったので、貸借対照表の負債の部に+8,000円です。
 (資産の減少)

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10.賃金消費額の計算

A社の給与計算期間は毎月16日から翌月15日まで。
6月の賃金支給額は1,000円。
なお、前月未払額400円、当月未払額500円である。


原価計算期間は毎月1日から月末までなので、図のようになります。

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〇これを仕訳にすると・・・
月初めの仕訳(再振替仕訳)

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賃金を支給したときの仕訳

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月末の仕訳(費用の見越し)

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11.労務費の処理

7月の作業員の賃金消費額を計上する。
7月の作業員の1時間あたりの賃金(消費賃率)は100円、作業時間は50時間だった。

賃金消費額=消費賃率×実際作業時間

 

〇次のような仕訳になります。

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作業員の賃金を、労務費から未成工事支出金に振り替えます。

貸方労務費を記入し、借方に未成工事支出金を記入します。


〇未成工事支出金が5,000円増えるので、貸借対照表の借方に+5,000円です。
 (資産の増加)
労務費が5,000円減るので、損益計算書の収益に+5,000円です。
 (費用の減少)

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