- 1.外注費の処理
- 2.経費とは
- 3.経費を消費したときの処理
- 4.原価計算表ー建物が完成したときの処理
- 5.完成、引渡しの処理ー工事完成基準による場合
- 6.決算整理仕訳ー現金過不足の処理
- 6.決算整理仕訳-有価証券の評価替え
- 7.決算整理仕訳-貸倒引当金
- 8.決算整理仕訳-減価償却
- 9.決算整理仕訳-費用(収益)の繰延べ・見越し
- 10.決算整理仕訳-完成工事原価
- 11.当期純利益・当期純損失の計上
1.外注費の処理
建物を建設するにあたって、下請業者に委託している工事がある。
下請契約は10,000円。
今日、下請業者から工事の出来高は50%と報告を受けた。
〇次のような仕訳になります。
10,000円×50%=5,000円
5,000円を外注費で処理します。
工事未払金(負債)を貸方に記入します。
〇外注費が5,000円発生したので、損益計算書の費用に+5,000円です。
(費用の発生)
〇工事未払金が5,000円増えたので、貸借対照表の負債の部に+5,000円です。
(負債の増加)
2.経費とは
材料費、労務費、外注費以外の費用を経費といいます。
経費は支払経費、月割経費、測定経費、発生経費に分けられます。
〇支払経費
その月の支払額が消費額となる経費。
〇月割経費
半年や1年などの発生額を月割計算した金額がその月の消費額となる経費。
減価償却費、保険料など
〇測定経費
計量器などで測定した消費量をもとに計算した金額がその月の消費額となる経費。
電気代、ガス代など
〇発生経費
その月の発生額が消費額となる経費。
棚卸減耗費など
3.経費を消費したときの処理
厚生費1,000円を現金で支払った。
★経費の諸勘定を用いない場合の処理
経費の諸勘定を用いない場合、未成工事支出金で処理します。
現金で払ったので、現金を減らします。
未成工事支出金(資産)で処理するので、借方に未成工事支出金を記入します。
〇未成工事支出金が1,000円増えたので、貸借対照表の資産の部+1,000円です。
(資産の増加)
〇現金が1,000円減ったので、貸借対照表の負債の部に+1,000円です。
(資産の減少)
★経費勘定を用いる場合の処理
現金で払ったので現金を減らします。
経費勘定で処理するので、借方に経費(費用)を記入します。
〇経費が1,000円発生したので、損益計算書の費用に+1,000円です。
(費用の発生)
〇現金が1,000円減ったので、貸借対照表の負債の部に+1,000円です。
(資産の減少)
4.原価計算表ー建物が完成したときの処理
先月注文を受けた建物Aと建物Bが完成しました。
新しく建物Cの注文を受けましたが、これはまだ完成していません。
備考欄に、月末の建物の状態を記入します。
建物が完成するまで、原価は未成工事支出金(資産)に集計されていますが、
建物が完成したら、未成工事支出金から完成工事原価(費用)に振り替えます。
↓
↓完成したものは完成工事原価へ振り替える
★完成工事原価報告書
完成した建物Aと建物Bについて、完成工事原価報告書を作成すると
次のようになります。
↓
5.完成、引渡しの処理ー工事完成基準による場合
×1年1月31日 A社から請け負っていた建物が完成したため引き渡した。
当期中に発生した費用(材料費2,000円、労務費4,500円、外注費3,000円、経費1,500円)
建物の工事収益総額35,000円
工事原価総額26,000円
手付金として契約時に2,000円を受け取っている。
手付金との差額は翌月末に受け取る。
前期までに発生した原価合計15,000円
この工事は工事完成基準によって処理する。
〇次のような仕訳になります。
建物が完成して引き渡したので、貸方に完成工事高(収益)を計上します。
契約時に受け取っていた未成工事受入金(負債)をなくすので、借方に記入します。
手付金との差額はまだ受け取っていないので、完成工事未収入金(資産)を借方に記入します。
各期に発生した原価は未成工事支出金(資産)として処理しているので、決算時に完成工事原価(費用)に振り替える処理をします。
〇未成工事受入金が2,000円減ったので、貸借対照表の資産の部に+2,000円です。
(負債の減少)
〇完成工事未収入金が33,000円増えたので、貸借対照表の資産の部に+33,000円です。
(資産の増加)
〇完成工事高が35,000円発生したので、損益計算書の収益に+35,000円です。
(収益の発生)
〇未成工事支出金が26,000円減ったので、貸借対照表の負債の部に+26,000円です。
(資産の減少)
〇完成工事原価が26,000円発生したので、損益計算書の費用に+26,000円です。
(費用の発生)
6.決算整理仕訳ー現金過不足の処理
現金過不足が100円ある。
決算につき、原因が分からないため雑損失または雑収入で処理する。
ここでは、現金過不足が借方にある(実際の現金が少ない)場合を説明します。
〇次のような仕訳になります。
決算までに、実際の現金が少ない原因が分からなかったので、現金過不足を雑損失(費用)に振り替えます。
借方にあった現金過不足を減らすため、貸方に現金過不足を記入する。
借方は雑損失(費用)で処理します。
〇精算表の記入
・試算表欄の借方にある現金過不足が減るので、修正記入欄の貸方に100円を記入します。
これで現金過不足が0になるので、この後は記入なしです。
・雑損失で処理するので、修正記入欄の借方に100円を記入します。
雑損失は費用なので、損益計算書の借方に100円を記入します。
(費用の発生)
6.決算整理仕訳-有価証券の評価替え
帳簿価額1,000円の有価証券を、時価1,100円に評価替えする。
〇次のような仕訳になります。
売買目的有価証券(資産)が100円増えたので借方に記入します。
100円は収益なので、有価証券評価益を貸方に記入します。
〇精算表の記入
・試算表では有価証券1,000円ですが、時価が1,100円なので、差額の100円を修正記入欄の借方に記入します。
そして、貸借対照表の借方に1,100円となります。(資産の増加)
・100円は収益なので、有価証券評価益の修正記入欄の貸方に100円を記入します。
収益は貸方なので、損益計算書の貸方に100円となります。(収益の発生)
7.決算整理仕訳-貸倒引当金
完成工事未収入金の期末残高1,000円に対し、4%の貸倒引当金を設定する。
差額補充法
貸倒引当金期末残高30円
〇次のような仕訳になります。
1,000×4%=40円
貸倒引当金期末残高30円
40円-30円=10円
貸倒引当金はマイナスの資産なので、貸方に記入します。
借方は、貸倒引当金繰入(費用)で処理します。
〇精算表の記入
・貸倒引当金の期末残高30円に、10円を補充するので、修正記入欄の貸方に10円を記入 ます。
マイナスの資産が増えたので、貸借対照表の貸方に40円です。
・貸倒引当金繰入(費用)が発生したので、修正記入欄の借方に10円を記入します。
費用なので、損益計算書の借方に10円です。
8.決算整理仕訳-減価償却
決算につき、建物10,000円の減価償却を行う。
定額法、耐用年数30年、残存価額は取得原価の10%
〇次のような仕訳になります。
減価償却費は借方に記入します。
減価償却累計額(間接法)は負債なので貸方に記入します。
〇精算表の記入
・減価償却累計額(負債)が300円増えたので、修正記入欄の貸方に300円を記入し、試算表欄の900円と修正記入欄の300円を合わせて、貸借対照表の貸方に1,200円を記入します。
・減価償却費(費用)が発生したので、修正記入欄の借方に300円を記入し、損益計算書の借方に300円を記入します。
9.決算整理仕訳-費用(収益)の繰延べ・見越し
決算につき、支払家賃のうち次期分の100円を繰り延べる。
また、支払利息の未払分10円を見越計上する。
〇次のような仕訳になります。
次期分の家賃を前払いしているので、前払家賃(資産)を借方に記入します。
次期分の支払家賃(費用)を当期分から減らすので、貸方に支払家賃を記入します。
支払利息(費用)を見越し計上するので、借方に支払利息を記入します。
まだ支払っていないので、貸方に未払利息(負債)を記入します。
〇精算表の記入
・支払家賃(費用)の試算表欄700円から、次期分の費用を減らすので、減らした分を修正記入欄の貸方に記入します。(費用の減少)
次に、支払家賃は費用なので、当期分を損益計算書の借方に記入します。
・当期の支払利息(費用)にもかかわらず、まだ支払っていない分を当期の費用とするので、支払利息の修正記入欄の借方に10円を記入します。(費用の発生)
次に、試算表欄の借方の25円とプラスして当期の支払利息となるので、損益計算書の借方に35円を記入します。
・次期分の家賃を100円支払っているので、前払家賃(資産)100円を修正記入欄の借方に記入します。(資産の増加)
次に、前払家賃は資産なので貸借対照表の借方に記入します。
・支払利息(費用)は当期の費用にも関わらずまだ支払っていないので、未払利息(負債)を修正記入欄の貸方に記入します。(負債の増加)
次に、未払利息は負債なので、貸借対照表の貸方に記入します。
10.決算整理仕訳-完成工事原価
当期に完成し、引き渡した工事原価は900円である。
〇次のような仕訳になります。
未成工事支出金(資産)として計上していたもののうち、900円が完成し引き渡しているので、完成工事原価(費用)に振り替えます。
〇精算表の記入
・未成工事支出金(資産)に計上していたもののうち、完成し引き渡した900円を減らすので、修正記入欄の貸方に900円です。(資産の減少)
次に、試算表の1,000円から900円を引いて、未成工事支出金の期末残高100円を貸借対照表の借方に記入します。
・900円は完成工事原価(費用)に振り替えるので、修正記入欄の借方に900円です。
(費用の発生)
次に、完成工事原価は費用なので、損益計算書の借方に900円です。
11.当期純利益・当期純損失の計上
精算表の修正記入欄、損益計算書欄、貸借対照表欄を埋めたら、当期純利益(当期純損失)の計算をします。
これは、損益計算書の収益から費用を差し引いて計算します。
損益計算書の仮計の部分で差額が出ます。
その差額が借方にできたら当期純利益、貸方にできたら当期純損失となります。
当期純利益・・・損益計算書の借方、貸借対照表の貸方
当期純損失・・・損益計算書の貸方、貸借対照表の借方
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